外壁の重ね張りの失敗例と対策3選|内部結露や漏水、外壁落下のリスク!

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外壁の重ね張りの失敗例と対策3選|内部結露や漏水、外壁落下のリスク!

外壁の重ね張りで最も深刻な失敗は、漏水と結露です

特に木造の場合は、柱やはりなどに水分が吸水されると、建物本来の耐久性が確保できません。鉄骨造やRC造でも、漏水や結露で鉄筋や内装材が劣化するおそれがあります。

外壁の重ね張りでよくある失敗と対策を理解してから、リフォームを検討しましょう。

外壁の重ね張りとは

外壁の重ね張りは、既存の外壁をそのまま残し、上から新しい外壁を重ねて張るリフォームです。

張り替えや塗り替えとの違い

また、外壁リフォームには、重ね張り以外にも、以下の2つの方法があります。

  • 張り替え
  • 塗り替え

それぞれの違いと特徴を理解しておきましょう。

張り替えは既存の外壁を撤去する

外壁の重ね張りは、既存の外壁をそのまま残してリフォームする方法です。一方、張り替えは、既存の外壁を撤去および処分し、新しい外壁を復旧する方法です。

張り替えの場合は、既存の外壁を撤去するところから工事が始まります。そのため、工事期間が長く、廃材の処分費用でコストが高くなる傾向があります。

ただし、張り替えは、外壁の中を総点検できるメリットがあります。普段は見ることができない外壁の中を総点検し、現状の傷み具合を確認することで、将来劣化してくる部分を想定できます。

塗り替えは外壁表面を塗装する

外壁の塗り替えは、既存の外壁はそのままで、外壁表面の塗装を健全な状態へ復旧する方法です。

塗り替えが最もコストを抑えられ、工事期間も短い方法ですが、既存の外壁の状況によっては採用できない可能性もあります。

たとえば、劣化が進行しており、外壁材自体が腐食している場合、腐食している部分だけを取り換えてそれ以外の部分は塗り替えるという選択肢もあります。しかし、一部で劣化が進行している場合は、ほかの部分もそれに近い状況になっている可能性が高いため、塗り替えだけでは対応できないかもしれません。

外壁の重ね張りのメリット

外壁の重ね張りには、以下のようなメリットがあります。

  • 撤去や処分がいらない
  • 断熱性と遮音性が向上する
  • 内部の改修が発生しない

張り替えや塗り替えと比較して、どのような特徴があるのかを確認しましょう。

撤去や処分がいらない

張り替えの場合は、既存外壁の撤去と処分が必要ですが、重ね張りの場合は既存の外壁は残したままで工事が可能です。

そのため、費用や工事期間を抑えられるだけでなく、環境配慮の観点でも優しい方法です。

断熱性と遮音性が向上する

重ね張りは、既存外壁と新しい外壁で二重の外壁になります。

つまり、外壁の厚みがいままでの2倍になるため、断熱性と遮音性が向上し、室内の快適性や省エネ効果も期待できます

内部の改修が発生しない

重ね張りはすべて外側からの工事が可能なため、建物内部への影響がありません。そのため、住みながらリフォームを進められます。

外壁の重ね張りのリフォーム費用

外壁の重ね張りは、状況によって費用も異なります。ここでは、2つの事例におけるリフォーム費用を紹介します。

  • 外壁劣化防止と美観向上を目的とした外壁の重ね張り
  • 断熱強化も兼ねた外壁の重ね張り

なお、どちらも既存外壁の劣化状況は良好な場合とします。

例1:外壁劣化防止と美観向上を目的とした外壁の重ね張り

まずは、以下の条件で、外壁劣化防止と美観向上を目的とした外壁の重ね張りを行った場合の費用を見てみましょう。

  • リフォーム内容:サイディング外壁の上にガルバリウム鋼板の重ね張り
  • 木造
  • 延べ面積:約30坪(約99平方メートル)
  • 2階建て
  • 外壁面積約170平方メートル
例1のリフォーム費用
項目 費用の目安(円)
足場 15万~25万
ガルバリウム鋼板 70万~100万
その他経費 20万~40万
合計 105万~165万

例2:断熱強化も兼ねた外壁の重ね張り

次に、以下の条件で、断熱強化も兼ねた外壁の重ね張りを行った場合の費用を紹介します。

  • リフォーム内容:サイディング外壁の上に断熱材+ガルバリウム鋼板の重ね張り
  • 木造
  • 延べ面積:約30坪(約99平方メートル)
  • 2階建て
  • 外壁面積:約170平方メートル
例2のリフォーム費用
項目 費用の目安(円)
足場 15万~25万
断熱材 50万~85万
ガルバリウム鋼板 70万~100万
その他経費 20万~40万
合計 155万~250万

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外壁の重ね張りで起きる失敗例と対策3選

多くのメリットがある外壁の重ね張りですが、失敗するおそれもあります。

注意が必要なのは、以下の3つのリスクです。

  • 内部結露のリスク
  • 漏水のリスク
  • 地震による外壁落下のリスク

外壁の重ね張りでの失敗やリスクは、建物全体に大きな影響を及ぼします。そのため、なぜそういう事態が起きるのかの原因をよく理解してから、施工会社を選ぶ必要があります。

失敗例1:内部結露による断熱材や下地材の劣化

外壁の重ね張りで最も多い失敗は、内部結露による断熱材や下地材の劣化です。

重ね張りでは、既存の外壁と新しい外壁の間に空気層ができます。この空気層が、内部結露を誘発する原因です。

結露は、水蒸気を多く含んだ空気が滞留した状態のとき、温度の低い部分で発生します。

外壁の重ね張りをすると、冬場は新しい外壁と既存の外壁との間で、水蒸気を多く含んだ空気が滞留します。新しい外壁が外気で冷やされると、内部で結露が発生します。

結露が発生する様子

結露が発生する様子

一方、梅雨時や夏場は、水蒸気を多く含んだ空気が壁内に入り、冷房の効いた室内側の木材や内装材に結露が発生します。

対策:既存外壁と新しい外壁の間に十分な隙間を確保する

内部結露を発生させないためには、結露の原因となる水蒸気を多く含んだ空気を外壁内に滞留させないようにする必要があります。

具体的には、以下がポイントです。

  • 新しい外壁と既存の外壁の隙間は、空気が流れやすいようにする
  • 空気の逃げ道を確保する

結露を防ぐためには、空気が活発に流動していることが重要です。空気の流れを妨げないように逃げ道を確保すると、内部結露を防げます。

具体的には、外壁の最下部に空気の流入口を設け、外壁の最上部に空気の逃げ道を設けると、空気が下から上へ流れます。

つまり、新しい外壁と既存の外壁の間にある隙間は、できる限り大きくする必要があります。コスト軽減にこだわると、使用する外壁材を減らすために十分な隙間が確保できないため、注意しましょう。

失敗例2:漏水による建物の腐食

内部結露を防止するため、新しい外壁と既存外壁の間には、十分な隙間を設ける必要があります。しかし、その隙間が、雨が吹き込むような屋根のない場所や、雨の跳ね返りがあるひさしの上などにあると、雨水が浸入する危険性があります。

隙間から雨水が浸入すると、壁内の下地材や断熱材、構造材まで腐食させる原因になります。

対策:水返しのある部品を取り付ける

結露防止のために設置した空気の流入口と排出口が、雨水の浸入経路にならないような工夫が必要です。

具体的には、水返しといわれる立ち上がりがある部品を隙間の上部に深く被せると、雨水が直接入ってきません。見た目は悪くなりますが、雨水の浸入を防ぐためには重要です。

また、ひさし上部などの雨水の跳ね返りがある部分も注意が必要です。空気の流入口を設置するときは、ひさし上部からある程度の跳ね返り距離(30センチ以上)を確保します。

失敗例3:地震による外壁の落下

重ね張りでは、新しい外壁を既存の外壁に固定する必要があります。固定する部分は、既存の健全な外壁、もしくは既存外壁の健全な下地材です。

外壁の重ね張りを検討する際は、築10年以上経過している場合が多く、既存の外壁が健全であるかどうかは、見た目だけの判断では難しいところがあります。

見た目だけで健全であると判断し、劣化が進行している既存外壁に新しい外壁を固定してしまうと危険です。地震時に劣化している固定部分が外れ、新しい外壁が落下するおそれがあります。

対策:できるだけ軽量な外壁材を選ぶ

外壁を落下させないためには、以下の2つの対策があります。

  • 見た目だけで既存外壁の状態を判断しない
  • 重ね張りする外壁材の種類

外壁を重ね張りすると、建物がひと回り大きくなります。荷重も外周も大きくなるため、地震時は、より大きな水平力と遠心力が外壁にかかります。

そのため、見た目だけで既存外壁の状態を判断せず、地震に耐えられる下地材にしっかり新しい外壁を取り付けることが重要です。

また、外壁の荷重はできる限り軽いほうがよいため、セメント系のサイディングよりガルバリウムなどの軽量な外装材を選びましょう。地震時の水平力や遠心力を抑えて、外壁が落下するリスクを低減できます。

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外壁の重ね張りに失敗しないための注意点

既存外壁の状態によっては、外壁の重ね張りだけにこだわるのではなく、別の方法も視野に入れて検討しましょう。

外壁リフォームの方法は選択肢の幅を広げて検討する

外壁の重ね張りは、内部結露や漏水、外壁落下の対策をしっかり施すことで、環境にも配慮した断熱性の高い快適な外壁リフォームを実現できます。

ただし、既存外壁の状態に不安がある場合や、コストを少しでも抑えたい場合は、張り替えや塗り替えなど、ほかの選択肢も広く検討しましょう

ひとつの方法にこだわる必要はなく、それぞれのメリットとデメリットを理解し、既存の外壁の状態に合わせて、もっとも相性がよい方法を見極める必要があります。

複数の見積もりを比較する

外壁の重ね張りに限らず、外壁リフォームを検討する際は、専門家の見解を考慮したリスク対策が必要です。

しかし、自分の予算が決まっていると、どの方法が最適かの判断は難しいでしょう。

また、施工会社によって、外壁の重ね張りが得意だったり、外壁塗装をメインに対応していたり、それぞれ得意分野が異なります。そのため、安易に1社だけを選んで依頼すると、失敗してしまうおそれがあります。

まずは、外壁塗装や外壁工事の一括見積もりサイトの「ぬりマッチ」を利用して、複数の施工会社による見積もりを比較してみましょう。適正な価格や自宅に合った外壁リフォームの方法を無料で確認できるため、使わない手はありません。

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