耐久年数と耐用年数は同じ意味だと思っていませんか?実はそれぞれの言葉には、大きな違いがあります。混同して使用されていることも多いのですが、正しい意味を把握していないと、いざというときに思わぬミスをするおそれがあります。
まずは耐久年数と耐用年数の違いを確認してください。
説明できますか?耐久年数と耐用年数の違い
耐久年数と耐用年数は同じ意味だと思いがちですが、実はまったく意味が異なります。耐久年数と耐用年数の違いについて解説します。
耐久年数とは
耐久年数とは、メーカーが調査や実験などをもとにして、この期間であれば問題なく使用できると公表している年数のことです。
耐久年数はあくまで使用可能な目安のため、使用状況や環境などで実際に使用できる年数は変動します。
耐用年数とは
耐用年数とは、資産価値を算出するために使われる期間のことです。主に減価償却費の計算基準として使われます。
減価償却費は、時間の経過によって低下する資産の価値を耐用年数に応じて、分割して費用に計上します。したがって、耐用年数は減価償却費の計算で使う年数と考えて問題ありません。
住宅の主な耐用年数
住宅の耐用年数とは、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で定められている法定耐用年数を指します。
住宅の構造によって耐用年数は異なります。以下に構造別の耐用年数をまとめました。
住宅の構造 | 耐用年数(年) |
---|---|
木造 | 22 |
軽量鉄骨プレハブ造 (骨格材の厚さ3mm以下) |
19 |
軽量鉄骨プレハブ造 (骨格材の厚さ3〜4mm) |
27 |
重量鉄骨造 (骨格材の厚さ4mm超) |
34 |
(鉄骨)鉄筋コンクリート造 | 47 |
住宅の耐用年数は、減価償却費の計算以外にも、金融機関の住宅ローン審査や不動産査定でも、指標として利用される場合があります。
耐用年数=寿命ではない!
耐用年数は寿命ではなく、資産として価値がある年数です。物理的な寿命を示すものは、耐用年数ではなく耐久年数です。
耐用年数はダメでも耐久年数は延ばせる!
耐用年数を延ばすことはできませんが、耐久年数は努力次第で延ばせます。
木造建築物の耐久年数は30年といわれています。しかし、実際にはそれよりも築年数が古い住宅も数多く存在しており、法隆寺※にいたっては1300年以上も前に建築されています。適切に管理とメンテナンスをすれば、耐久年数を延ばすことは可能なのです。
※法隆寺
聖徳太子が建立したと伝えられる寺院。西暦607年に建立したと伝えられているが、一度焼失し、現存する寺院(西院伽藍)は700年ごろに建てられたと考えられている。世界最古の木造建築。
住宅の耐久年数を延ばす方法
住宅の耐久年数を延ばすには、3つの効果的な方法があります。
- 建物の材質や性能にこだわる
- こまめに掃除をする
- 外壁・屋根を塗装する
それぞれの方法について解説します。
建物の材質や性能にこだわる
住宅の耐久年数を延ばすには、建物の材質や性能にこだわりましょう。たとえば、建物に使う建材を高耐久性のものにしたり、耐震等級が高い住宅を建てたりすれば、経年劣化だけでなく自然災害にも強くなります。
高品質な建物であれば、耐久年数を一般的な住宅より延ばせるでしょう。
こまめに掃除をする
住宅は日々劣化しますが、こまめに掃除をすることで耐久年数を延ばせます。特に外壁や水回りなど、腐食による劣化が起こりやすい場所は、念入りに掃除を行いましょう。こまめに掃除をすることで、異常があったときも早期発見がしやすくなります。
住宅の耐久年数を延ばすには、劣化による被害が小さいうちに対応することが大切なのです。
外壁・屋根を塗装する
外壁や屋根を定期的に塗装することで、耐久年数を延ばすことが可能です。外壁や屋根には建物を保護する重要な役割があるため、適切にメンテナンスをしなければ建物の劣化を早める原因になります。
外壁・屋根塗装は耐久年数を延ばす重要ポイント
外壁・屋根塗装は、住宅の耐久年数を延ばすうえで重要です。外壁と屋根塗装について耐久年数を延ばす観点から解説します。
外壁塗装・屋根塗装の効果
外壁塗装や屋根塗装の効果は、主にふたつあります。
ひとつは、住宅を保護する役割です。建物の外壁や屋根は、常に外気にさらされており、風雨や太陽の紫外線による脅威から私たちの生活を守ってくれています。そんな外壁や屋根を塗装することで、劣化を補修したり遅らせたりできるのです。
ふたつ目は、外観の見栄えをよくする役割です。住宅の印象は、外壁の印象で大きく変わります。汚れのある状態だと、住んでいる人の印象を下げてしまうかもしれません。
外壁は年数が経つと、色あせたり汚れが付着しやすくなったりします。塗装することで、建物の印象を大きく向上できるでしょう。
外壁材・屋根材の耐久年数
外壁材と屋根材の耐久年数は、使用する材料によって異なります。よく使われる外壁材と屋根材の種類と耐久年数をまとめました。
代表的な外壁材には、次のものがあります。
外壁材の種類 | 概要 | 耐久年数(年) |
---|---|---|
窯業系サイディング | セメントと繊維質を混ぜて成型したもの | 20〜30 |
金属系サイディング | 金属板と断熱材を組み合わせたもの | 20〜30 |
木質系サイディング | 無垢な木材の表面を加工して耐火性などを加えたもの | 15〜25 |
樹脂系サイディング | 塩化ビニル樹脂と呼ばれるプラスチック素材でつくられたもの | 20〜30 |
モルタル | 砂とセメントと水を混ぜたもの | 30 |
タイル | 土、石、砂などを成形して焼き固めたもの | 20〜30 |
サイディングとは、薄い板状にした外壁材のことです。日本では窯業系サイディングがもっとも使われています。
続いて屋根材は次のとおりです。
屋根材の種類 | 概要 | 耐久年数(年) |
---|---|---|
スレート屋根 | セメントなどを材料にしてつくったもの | 30 |
トタン屋根 | 亜鉛でめっき加工した鉄板 | 20〜30 |
ガルバリウム鋼板 | アルミニウム、亜鉛、シリコンでめっき加工した鉄板 | 30〜40 |
和瓦 | 粘土を焼き上げてつくった瓦 | 30〜40 |
耐久年数を超えて外壁塗装や屋根塗装を保つには、適切かつ定期的にメンテナンスをすることが大切です。
塗料の耐久年数
外壁や屋根に使用する塗料にも耐久年数があります。塗料の種類によって耐久年数が異なります。代表的な塗料は次のとおりです。
塗料の種類 | 塗料の特徴 | 耐久年数(年) |
---|---|---|
アクリル塗料 |
|
5〜8 |
ウレタン塗料 |
|
7〜10 |
シリコン塗料 |
|
10〜13 |
フッ素塗料 |
|
13〜20 |
外壁塗装の塗料を選ぶときは、価格や特徴などを確認したうえで、使用しましょう。
外壁・屋根塗装をする目安
基本的に外壁と屋根塗装はセットで行うのがおすすめです。人件費や工期を削減できるうえに、足場代が1回分で済みます。また、外壁と屋根と同じ耐久年数の塗料を使えば、メンテナンスのタイミングを同時期にできます。
外壁・屋根塗装をする目安として、次の症状が見られたら検討しましょう。
チョーキング現象が発生している
チョーキング現象とは、紫外線や風雨の影響で塗装が劣化して、外壁に触るとチョークのような粉が手につく現象です。チョーキング現象が起こっているときは、塗料の耐久性が低下しているため、塗り替えを検討しましょう。
カビやコケが生えている
外壁や屋根にカビやコケが生えている場合は、早く取り除いてください。カビやコケを放置すると、さらに増殖してしまいます。見た目が悪くなるだけでなく、アレルギーなどの病気を引き起こす原因にもなります。
カビやコケの洗浄には、水を使った高圧洗浄では不十分なため、カビやコケを分解する洗浄剤を使ったバイオ洗浄が効果的です。
コーキングにひび割れが発生している
外壁の継ぎ目に充填するコーキングにひび割れが発生している場合は、劣化しているサインです。ひび割れができるほどコーキングが劣化している場合は、以前に外壁の塗装をしてから10年ほど経っていると考えられます。ひび割れが大きくなる前に、施工会社に確認してもらいましょう。
塗膜にはがれやふくれが発生している
塗膜に、はがれやふくれが発生している場合は、塗膜が劣化しており、塗装をする必要があります。塗膜が失われている部分から雨水が入り、外壁材の劣化が早まる原因になります。侵入した雨水は、家の構造を傷めるため、早めの対処が必要です。
外壁塗装・屋根塗装は施工会社に依頼する
外壁や屋根を塗装して家の耐久年数を延ばすなら、施工会社に依頼しましょう。2階の外壁や屋根などの高所も、職人であればしっかりと塗装します。また、どういった塗料が適しているのかも判断し、提案してくれます。家の耐久年数を延ばすには、プロのアドバイスが欠かせません。
施工会社を選ぶポイントは、信頼できる会社を選ぶことです。
外壁や屋根の塗装ができる施工会社を紹介する「ぬりマッチ」では、審査をクリアした信頼できる施工会社だけが登録されています。塗装したい家の情報や連絡先を入力すれば、ぬりマッチが信頼できる複数の施工会社を紹介します。
施工会社の見積もりや工事内容、担当者の対応などを比較して、気に入った会社を選んで契約してください。