外壁塗装の時期に正解はありません。なぜなら、どの時期に塗装工事を依頼してもメリット、デメリットがあるからです。そこで、本記事では外壁の塗装時期を判断するポイントを紹介します。本記事をお読みいただければ、いつ外壁塗装をすべきか明確になるはずです。ぜひ参考になさってください。
外壁の塗装時期を月別で判断するポイント
外壁塗装をする時期に正解はありませんが、作業を実施する月の決め方として失敗しにくい方法があります。塗装の完成度と費用の安さ、どちらをより重視するかで判断する方法です。
完成度重視なら3~5月上旬または10~11月
その日の天候、気温、湿度によって左右されますが、3~5月上旬は塗料が乾きやすいため工事しやすい時期といわれています。
塗料が乾きやすいための条件は湿度が低いことです。湿度とは空気中の水分量を指します。水分量は湿度が低いほど少なくなるため、湿度が低いと塗料(空気)が乾燥しやすくなります。日照時間が長いのも塗料が乾燥しやすい条件の1つです。つまり、塗装した塗料が乾きやすい条件がそろっている時期が3~5月上旬なんです。乾きやすいため塗装の質も高くなりやすい傾向にあります。ただし、5月下旬に入ると梅雨が近づいてくる影響で天候が不安定にないやすいので、注意しましょう。
安さ重視なら6~9月と12~2月
6~9月、12~2月は外壁塗装の閑散期といわれています。なぜなら、6~9月は雨の多い時期ですし12~2月は日照時間が短いので作業できる時間も限られるためです。さらに、12~2月は雪の影響で工期が伸びるおそれもあります。
閑散期なので塗装工事の依頼数がほかの月に比べ少なくなります。つまり、塗装の依頼数が少ない施工会社は、依頼数を増やすため費用を相場より安くしている場合があるということです。
月別の注意点
日本には四季があり、寒暖差が大きく変化します。それぞれの月に塗装を行う際には、次のようなことに注意しましょう。
3、4、5月 | 日照時間も多いので、外壁塗装にとって良い時期です。施工会社の繁忙期にあたるため、前もって計画しましょう。5月の後半は梅雨が近づいてきますので、天候が不順です。月末付近にかからないように予定を組みましょう。 |
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6、7、8、9月 | もっとも降水量が多く、外壁塗装に向かない時期です。しかし、外壁塗装ができない天候ではありません。近年の塗料は湿気にも強く、工期に余裕をもって進められれば問題ありません。施工会社も閑散期となりますので、対応が早く工事の日程を立てやすい時期です。台風シーズン前に住宅のメンテナンスをしておきたいという方はこの時期に工事しましょう。9月は台風が多く到来します。台風の通り道の地域では、計画を立てる時期と割り切りましょう。 |
10、11月 | 晴れの日も多くなり、湿度も下がり、外壁塗装にとって良い時期です。施工会社の繁忙期にあたるため、前もって計画しましょう。 |
12月、1月、2月 | 塗装ができるギリギリの気温で、外壁塗装に向かない時期です。霜が降りる地域もあり、塗り替えの妨げになります。 特にスレート屋根の塗装の場合、塗料が乾きにくく、日数がかかることが多いです。山間部や日本海側などの豪雪地域では、あまりおすすめできません。太平洋側は雪が降るため、外壁塗装にふさわしくない時期です。この時期に塗装する際は、雪に注意しましょう。 |
外壁塗装の耐用年数で時期を見極める
塗料の耐用年数で塗装時期を判断できます。
外壁にどんな塗料を塗っても、紫外線や風、雨にさらされると劣化は進んでいきます。そのため、外壁塗装は1回施工して終わりではなく塗料の耐用年数を過ぎるタイミングで、その都度メンテナンスする必要があります。
メンテナンスの目安は、塗料を塗ってから約10年経過したタイミングです。塗料によって耐用年数は変わってきますが、永久にメンテナンスが不要な塗料はありません。また、住宅の周辺環境によっても塗料の耐用年数は変わります。
塗装の効果を長持ちさせるためにも、ここで外壁塗装の耐用年数を確認しておきましょう。
塗料による耐用年数の違い
塗料は種類によって、耐用年数に大きな違いがあります。
塗料の種類 | 耐用年数(年) |
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アクリル塗料 | 約5~7 |
ウレタン塗料 | 約8~10 |
シリコン塗料 | 約10~15 |
ラジカル塗料 | 約10~15 |
ピュアアクリル塗料 | 約12~15 |
フッ素塗料 | 約15~20 |
無機塗料 | 約20~25 |
光触媒塗料 | 約15~20 |
遮熱塗料 | 約15~20 |
なお、技術の進歩により耐用年数は長くなってきています。今まででは10年ごとの外壁塗装が推進されてきましたが、今後は耐用年数が10年以上の塗料が増え、塗り替えの期間も長くなることが想定されます。
住宅の周辺環境による耐用年数の変化
住宅の周辺環境によっても塗料の耐用年数は変わります。
通常より塗料の耐用年数が短くなってしまう環境は、海岸などの近くに住宅がある場合です。強風により砂やホコリが外壁に叩きつけられやすいためです。また、降水量の多い地域も雨によるダメージを受けやすいため注意が必要です。 ダメージを受けた外壁は防水性能が低下し、雨水が染み込みやすくなります。また、劣化部分を放置してしまうとカビができやすくなります。
周辺環境によって、耐用年数は基本年数よりも短くなりますのでご注意ください。
外壁塗装が必要なサインの例
下記は、外壁塗装が必要な劣化症状の一例です。
- 外壁が色あせてきた
- 外壁がひび割れている
- 触ると白い粉が付く
- 外壁の一部が膨らんでいる
上記のような特徴が多く見られるなら、塗料の耐用年数にかかわらず塗り替えのサインですので参考にしてみてください。
外壁が色あせてきた
どれだけ高い耐久性をもつ塗料を使っても、外壁は時間が経つと色あせます。色あせてきた、と感じた時が外壁塗装を行うタイミングです。
外壁がひび割れている
外壁のひび割れ現象を「クラック」と呼びます。壁に亀裂のような線が目視できるようになると、塗装が必要なサインです。放っておくと亀裂が広がり、塗装をするときにうまく塗れなくなることがありますので注意が必要です。
クラックも塗り替えのサインですので、施工会社に相談しましょう。
触ると白い粉が付く
触ると白い粉が付く現象をチョーキング現象といいます。塗料に含まれている顔料(色のついた物質)が劣化することで粉状になり、白い粉が吹き出す現象です。
放置すると外壁材の性能自体が低下してしまうため、容易に汚れやほこりが付着します。
🎦チョーキング現象の実演動画
外壁の一部が膨らんでいる
外壁が膨らむのは塗膜に空気や水分、湿気などが入ってしまうのが原因です。塗膜とは、塗料を塗ってできた膜のことです。膨らみを放置すると破裂し、塗装ごと剝がれてしまうケースがあります。塗料の膨れ、剥がれが起きたら、急いで補修作業をしましょう。なお、補修なしでは塗料を塗れませんので自分で対処せず施工会社へ相談するのがおすすめです。