外壁塗装工事は、見た目をきれいにするだけでなく、劣化を改善して建物を守るためにも定期的に行う必要があります。
しかし、初めて依頼する方にとっては、具体的にどのような工事を行っているのかがわからず、不安を感じるかもしれません。
外壁塗装工事の詳しい内容や費用、工事が必要な外壁の状態など、基礎知識を解説します。
外壁塗装工事とは
まずは、外壁塗装工事とはどのような工事なのか、目的や費用について説明します。
外壁塗装工事で得られる効果
外壁塗装工事は、家の外観を変えるもしくはきれいにするために行うものと考える人もいるでしょう。しかし、得られる効果は、見た目だけでわかるものだけではありません。
劣化を改善して建物を守れる
外壁の塗装は、紫外線などの外的刺激によって劣化が進みます。
塗装が劣化すると、外壁材を守る効果が低くなってしまいます。外壁材も劣化すると、雨や風、雪などの自然災害から建物を守れません。
雨漏りが発生すると、以下のようなことが起きるおそれがあります。
- 内装材にシミができる
- 断熱材に雨などの水分が浸透して省エネ効果がゼロになる（乾いても省エネ効果は復活しない）
- 構造体が腐食し、耐震性が失われる
- 構造体が腐食し、建物の使用期間が短くなる
- シロアリが発生する
- カビが発生して家族がアレルギーになってしまう
建物を維持し続けるために、外壁塗装工事を行う必要があります。
不具合を発見して早期修繕が可能
外壁塗装工事では、塗料を塗る前にいまの外壁の状態を調べる工程があります。
その際、普段は見えていないひび割れなどが発見されるケースも少なくありません。
ひび割れが外壁全体に広がっていると、内部への浸水で構造が腐食しているおそれもあります。その場合、外壁塗装だけでは修繕できず、外壁全体の張り替えが必要です。
被害が広がる前に工事をきっかけに外壁の不具合を発見できれば、早期修繕につながり、外壁を長持ちさせられます。
資産価値を維持できる
外壁を常にきれいにしておけば、将来的に中古住宅として売買する際の資産価値を高くできます。
同じ築年数の建物の場合、見た目がきれいな家のほうが評価されます。
外壁塗装工事が必要なサイン
外壁に以下のようなサインが出ているときは、外壁塗装工事が必要であるといえるでしょう。
- チョーキング現象が起きている
- 塗膜がはがれている
- 塗膜が浮いている
- 塗膜にひびが入っている
- 塗膜の色が変わっており、くすんだように汚い
- 塗膜にカビやコケが付着している
- 塗膜にツヤがなくなった
- 鉄製外壁の場合サビが発生している
チョーキング現象とは、外壁に触れると白い粉のようなものが付着する状態です。劣化が進んでいるかを簡単に判断できます。
これらのサインが出ている場合は、早めに外壁塗装工事を行いましょう。
外壁塗装工事の費用
外壁塗装工事の費用は、けっして安くはありません。費用相場などを把握したうえで、工事を行うべきかを検討しましょう。
工事費用の相場
外壁塗装工事の費用相場を、建物の坪数別にまとめました。
| 費用の目安（万円） | |
|---|---|
| 30坪 | 60～100 |
| 40坪 | 80～130 |
| 50坪 | 100～160 |
費用相場に幅があるのは、採用する塗料の種類やグレードによって違いがあるためです。
助成金制度を活用する
外壁塗装工事には多額の費用がかかるため、助成金が利用できるかを確認しておきましょう。
さまざまな助成金制度があり、国や都道府県、市区町村が行っています。
たとえば千葉県銚子市が行っているのは、20万円以上50万円未満のリフォーム工事で2万円、50万円以上100万円未満の場合は5万円、100万円以上の場合は10万円が受け取れる制度です。
ただし、時期によっては、助成金制度を行っている場合と行っていない場合があります。外壁塗装工事を行う前に、自分の地域で制度が実施されているかを「外壁塗装・屋根塗装・リフォームの助成金と補助金」で確認しましょう。
自分で施工しても安くはならない
費用を抑えるために、DIYで外壁を塗装しようと考える人もいるかもしれません。しかし、自分で施工したからといって、安くなるとは限りません。
その理由は、専門的な技術がなければ、外壁塗装の施工会社と同じようなきれいな仕上がりにするのは難しいためです。
均等に塗料を塗れなかったり、余分な塗料を使ってしまったりすると、塗膜が劣化しやすく、十分な効果が発揮できません。結果、短期間での塗り替えが必要になります。
また、失敗して施工会社に依頼するしかない状態になるおそれもあり、余分に費用がかかってしまいます。
外壁塗装工事の内容
外壁塗装工事には、以下のようなさまざまな工程があります。
- 外壁調査
- 足場の設置
- 足場シート張り
養生 - 高圧洗浄
- 外壁修繕
- コーキングの打ち直し・
研磨紙 ずり - 下塗り・
研磨紙 ずり - 中塗り・
研磨紙 ずり - 上塗り
- 上塗り2回目
- 塗装検査
養生 撤去- 足場とシートの撤去
- 後片付け・清掃
工事の手順や日程を把握しておけば、きちんと塗装をしてくれる施工会社を見分けられるでしょう。
1：外壁調査
外壁調査
外壁塗装を行う前に、既存の外壁の調査をします。
既存の外壁や塗膜に不具合がないかを細かくチェックし、修繕が必要なのかどうかを確認します。
2：足場の設置
足場
外壁の塗装を行う範囲のすべてに手が届くように、足場を設置します。
建築基準法で、2m以上の高所作業の場合は足場を設置することが定められています。
3：足場シート張り
足場シート
足場を設置したあと、足場の外周にシートを張ります。足場よりも外部の本来塗料が付着してはいけない部分に塗料を飛ばさないようにするためです。
4：養生
養生
足場の内側にある塗料の付着を避けたい外壁以外の部分に、マスカーやビニールシートなどを使って
具体的には、以下のような部分です。
- 窓
- 玄関
軒天 破風 - レジスター
5：高圧洗浄
高圧洗浄
既存の外壁に付着している汚れを、高圧洗浄機を使ってきれいに清掃します。
この際にかかる水道代は、依頼者の負担です。
6：外壁修繕
修繕
既存の外壁に以下のような不具合がある場合は、外壁の修繕を行います。
- 既存の外壁塗膜の膨れやひび割れなど
- 外壁材自体のひび割れや剥がれなど
- 雨漏り
このとき、塗料などの水分の材料を使って修繕した場合は、十分な乾燥を行ったあとに次の工程へ進みます。
7：コーキングの打ち直し・研磨紙 ずり
コーキングの打ち直し
コーキングとは、外壁材の隙間を埋めるための
そのため、塗装の前に既存のコーキングをきれいに取り除いて、新しいコーキングを
コーキングが硬化していることを確認したあと、既存外壁に余計な凹凸がある場合、
研磨紙ずり
既存外壁に凹凸がなく平らな場合は、この工程は省略されます。
8：下塗り・研磨紙 ずり
下塗り
既存の外壁と上塗り塗料の密着をよくするために、下塗り塗料を塗ります。
下塗りは、サイディング外壁やモルタル外壁など、どのような外壁でも必要な工程です。
下塗り材が十分に乾燥していることを確認したら、再び
凹凸がない場合は行いませんが、塗料を塗布すると多少の凹凸は発生するため、
9：中塗り・研磨紙 ずり
中塗り
外壁の塗装は、長持ちさせるためにも重ね塗りが必要です。
ここで使用する塗料は、後述する上塗りと同じ塗料です。
中塗り材が十分に乾燥していることを確認したあと、
しかし、下塗りのときと同様に、塗料を塗布すると多少の凹凸は発生するため、実施されることが多いでしょう。
10：上塗り
外壁の色として選んだ塗料を塗る2回目の塗装工程です。
11：上塗り2回目
上塗りは通常1回のみですが、1回目できれいに仕上がらない場合は、上塗り2回目を実施します。
12：塗装検査
上塗りで塗装工程は終了のため、施工会社の有資格者による塗装検査を行います。
塗装検査で不具合があった場合は、塗装の手直しが実施されます。
13：養生 撤去
窓などに貼ったマスカーやビニールシート、マスキングテープなどを撤去します。
14：足場とシートの撤去
足場とシートを、撤去します。
その際、外壁が問題なく塗装されているかを再度確認したうえで、撤去を行います。
15：後片付け・清掃
足場をすべて撤去したあと、施工箇所や周りにゴミなどがある場合、後片付け・清掃を行います。
外壁塗装工事を依頼するときの注意点
外壁塗装工事を行う際は、さまざまな注意点があります。
外壁塗装と屋根塗装は同時に行う
屋根塗装
外壁塗装と屋根塗装を同時に行うと、足場代や経費などが1回分で済み、家のメンテナンスにかかるトータルの費用を抑えられます。
また、メンテナンス周期をそろえたほうが、手間や時間も省略できます。
同時に行うことで外壁の色と屋根の色を合わせて変えられるため、統一感を出しやすいのもメリットでしょう。
中には、外壁と屋根を別々に塗装を行って請求額を上げるために、「外壁塗装はまだするな」「屋根塗装はまだするな」などという悪徳業者もいるため、注意が必要です。
カラーシミュレーションをする
外壁塗装の色決めをする際、どの色がよいのか迷う人は少なくありません。
さまざまな色のサンプルが並んだカタログもありますが、色を単体で見ても、なかなか実際に塗装した外壁の色がイメージしにくいでしょう。
外壁の色のカタログ
施工会社に依頼すれば、実際の家の写真を使ってカラーシミュレーションをしてくれます。小さいシミュレーションでは外壁塗装完成後の全体像が分かりにくいので、大きなシミュレーションを作ってもらいましょう。
保証内容を確認する
外壁塗装工事は、水分を使う湿式工事です。また、家の外側で工事を行うため、さまざまな外的刺激により塗膜に異常が発生してしまうこともあります。
その際、無料で修繕してくれるなど、保証内容がしっかりしていると工事完了後も安心です。
契約書に保証のことを記載していない施工会社の場合は、保証の内容を確認しましょう。保証に対してあいまいな説明しかできない施工会社に依頼してはいけません。
相見積もりをする
外壁塗装工事は、施工会社によって依頼費用や工事内容、アフターサービスなどに差があります。そのため、いくつかの施工会社から相見積もりを取って比較したうえで、どの施工会社なら安心して任せられるのかを見分けましょう。
しかし、複数の施工会社に1社ずつ問い合わせて見積もりを依頼するのは手間や時間がかかります。また、そもそもどこに依頼するかの選定が大変でしょう。
そのため、一括見積もりサイト「ぬりマッチ」の利用がおすすめです。ぬりマッチは、外壁の状態などを一度入力するだけで、条件に合った複数の施工会社へ見積もりを依頼できる無料のサービスです。
厳しい審査を通過した施工会社だけが加盟しているため、無理やり契約を迫られたり、不当な金額を請求されたりする心配はありません。
まずは「ぬりマッチ」を利用して、外壁の状態を確認してもらうことから始めましょう。